3−3−1.内照射による治療(放射性ヨード内用療法)

甲状腺分化がん(乳頭がん、濾胞がん、低分化がん)では、甲状腺全摘術後に放射性ヨード内用療法を行うことがあります。

(1)放射性ヨード内用療法

一般的には、甲状腺全摘術によってがんをすべて取り除くことができたと判断された場合でも、わずかに甲状腺の組織が残っています。これを放っておくとがんが再発したり、転移したりすることがあります。そのため、全摘術後に残った甲状腺の組織や目に見えない微小な腫瘍の組織を、I−131と呼ばれる放射性ヨードのカプセルをのんで、内照射することによって除去します(アブレーション)。一方、遠隔転移など手術では切除できない病巣に対しては、I−131の用量が大きい放射性ヨード大量療法を行います。

放射性ヨード内用療法は、入院または外来(アブレーションの場合)で行います。放射性ヨードのカプセルをのむと、一定期間は汗、唾液、尿などの体液に放射性ヨードが排出されます。入院治療の場合は、カプセルをのんだ後3日間は周りの人の被ばくを避けるため、アイソトープ病室に入院します。外来治療を希望する場合は、家族に小児または妊婦が同居していないことや、できるだけ公共交通機関を使わずに帰宅できることなどの、一定の条件があります。担当医に相談しましょう。

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●放射性ヨード内用療法の副作用

副作用は、急性期のもの(治療日から数日以内に生じるもの)とそれ以降に生じる後期のものに分けられます。急性期の副作用は、唾液腺の炎症(唾液腺炎)により食事時に痛む、口の中が乾燥する、塩味が低下するなどの味覚障害が起こることがあります。後期副作用には、唾液腺障害・涙腺障害による口の中や目の乾燥、不妊があげられます。