1-1 誰にでも起こるつらい気持ち

がんと告げられるのは衝撃的なことで、心に大きなストレスをもたらします。病名を耳にした後の数日間は、「まさか自分ががんのはずがない」「何かの間違いに決まっている」などと、認めたくない気持ちが強くなる人がほとんどです。これは、大きな衝撃から心を守ろうとするごく自然な反応です。

悲しくて涙が出たという人もたくさんいます。「なぜ、自分だけがこんな目にわなければならないのか」「私が何か悪いことをしたのか」などと、怒りを感じることもあるかもしれません。

また、「食生活が悪かったのではないか」「仕事のストレスのせいだ」などと、自分を責める人もいます。

しかし、多くのがんの原因は解明されておらず、がんになりやすい性格なども証明されていません。がんになったのは、決してあなたのせいではありません。

しばらくは、不安や落ち込みの強い状態が続くかもしれません。眠れなかったり、食欲がなかったり、集中力が低下する人もいます。

そんなときには、無理にがんばったり、平静を装ったりする必要はありません。誰とも話したくない時間や、一日中布団をかぶって寝ている日があってもいいのです。大きな衝撃を受けながらも、今あなたが生きていること、そのことこそがかけがえのないことです。

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