腫瘍細胞の組織型(顕微鏡で観察したときのがん組織の外見)は治療方法の選択を左右し、予後に影響します。具体的には予後良好の組織型と予後不良の組織型に分けられます。
(1)予後良好の組織型(Favorable Histology:FH)
がん細胞の外観が正常な腎臓の細胞とあまり違わない組織型です。腎芽腫のおおむね80%以上がこのタイプで、化学療法に対する反応が良好です。
(2)予後不良の組織型(Unfavorable Histology;UH)
がん細胞が退形成(細胞分裂が速く、正常な腎臓の細胞と外観が大きく異なる)を示す組織型です。退形成性の腫瘍では、1カ所にとどまっている場合もあれば(限局性)、ある領域に広がっている場合もあります(びまん性)。限局性の腫瘍はびまん性の腫瘍よりも予後が良好です。しかし一般的にこのタイプの腫瘍は、同じ病期のほかの腎芽腫よりも化学療法に対する反応が良くありません。