脳の神経細胞は、その一つ一つが適切な信号を送り出すことによって、体の働きを調節します。ところが、脳腫瘍や摘出手術をした後でも何らかの刺激が原因で、脳のある場所の神経細胞が一斉に興奮して一度に信号を送ることがあります。このときに起こる発作をけいれん発作といい、発作が繰り返される場合に一連として、てんかんといいます。
刺激される脳の部位によって、脳とは反対側の片方の手または足が自分の意思に反して震える、言葉が話せなくなるなど、さまざまな症状が起こります。脳全体に神経細胞の異常な興奮が広がった場合は、意識を失い、全身の筋肉が震えたり、つっぱったりする大発作となります。大発作の場合は、脳に酸素が十分行き渡らなくなり、重篤な事態を引き起こす可能性もありますので、すぐに医師にけいれん発作を止める処置をしてもらう必要があります。
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けいれん発作を予防するために抗てんかん薬が処方されます。規則正しく服用を続けることで、発作を起こさずに生活することが期待されますが、抗てんかん薬を服用していれば絶対にけいれん発作が起きない、ということではありません。自らの判断で薬ののみ方を変えたり、薬をのむことをやめると、けいれん発作が起きる可能性があります。最近は、けいれんを起こしていない場合、抗てんかん薬による肝機能障害や中毒疹などのリスク、他の抗がん剤などの相互作用も考え、予防的に抗てんかん薬を処方しないこともあります。担当医とよく相談してください。けいれん発作のある方や起こす危険がある方は、車の運転はできません。