3-2-8.手術の合併症について

手術の方法や切除範囲によって、QOLに影響する合併症が起こることもあります。

(1)創部の感染や離開(縫い目が開くこと)

術後の合併症として最も多いのが創部の感染や縫い目が開くことです。

(2)リンパ浮腫

リンパ節郭清によって、術後に下肢のリンパ浮腫が生じる場合があります。特に、放射線治療を追加した場合には、リンパ浮腫が生じる割合が高くなります。

(3)尿失禁、便失禁

がんの浸潤により尿道を切除する場合には、術後に尿失禁が生じることがあります。一般に、外尿道口から1cm以上切除する場合に発生率が高くなるとされています。また、腫瘍が肛門に近い場合で肛門括約筋を損傷したり、切除を行ったりすると、便失禁が生じることがあります。

(4)尿線異常

がんの浸潤により尿道を切除した場合に、真っすぐに排尿できず、思わぬ方向に尿が排出される場合があります。

(5)性機能障害

がんが浸潤していなければ、基本的に腟は残りますので、術後、性交渉を行うことが可能です。創部が落ち着き、体力が戻ったら、パートナー(配偶者・恋人)の協力を得て開始できるとよいでしょう。外陰がんの手術では、身体的な変化に伴い、心理的な変化も生じやすくなります。性交時の痛みや性欲の減退が生じる場合もあります。パートナーと一緒に担当医に相談することをお勧めします。

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