3−4.薬物療法

薬物療法の1つである化学療法は、がん細胞の増殖を妨げたり、がん細胞そのものを破壊したりする「細胞障害性抗がん薬」を用いることによって、がんの増殖を阻止する治療法が主です。化学療法は、高悪性度の脳腫瘍だけでなく、低悪性度の脳腫瘍であっても手術で腫瘍が取りきれなかった場合に行うことがあります。

薬は、通常、内服や注射によって血流に入り、全身のがん細胞に到達します。しかし、脳には、血液中の物質が脳組織へ移動するのを制限する仕組み(血液脳関門)があるため、通常の方法では脳にあるがん細胞へ薬を到達させることができません。そこで、脳にあるがん細胞を破壊するために、脳へ薬を直接注入することもあります。

また、薬物療法では、脳浮腫にはステロイド治療、感染には抗生物質、内分泌(ホルモンなど)の異常には内分泌療法(ホルモン療法)というように、症状に合わせて薬を選び、治療を進めていきます。細胞障害性抗がん薬をはじめとする薬の選び方については、腫瘍の種類や年齢などの情報をもとに患者ごとに決めていく必要があるため、担当医らとの十分な相談、確認が重要となります。