放射線治療は、高エネルギーのX線やそのほかの放射線をあててがん細胞を破壊し、腫瘍を消滅させたり小さくしたりする治療法です。高悪性度の脳腫瘍だけでなく、低悪性度の脳腫瘍であっても手術で腫瘍が取りきれなかった場合に行うことがあります。
治療の方法としては、体の外から腫瘍に放射線をあてる「外部照射」が一般的です。放射線をあてる範囲は、脳全体(全脳照射)や、脳室全体(全脳室照射)、脳の一部(局所照射)などさまざまであり、腫瘍の種類や個々の状況によって異なります。また、放射線治療は、単独で行う場合と、手術や薬物療法と組み合わせて行う場合があります。
脳腫瘍を含む小児がんは、放射線感受性(放射線治療の効果)が高いものが多く、進行したがんであっても治癒することは珍しくありません。一方で放射線治療は、副作用として将来の生活に影響を及ぼすような合併症を引き起こす可能性があり、特に治療時の年齢が低いほど、その影響が出やすくなります。そのため、小児脳腫瘍の治療として放射線治療を行うかどうかは、最適な照射方法や、線量(照射する放射線の量)、照射時期を含め、治療の効果と副作用の影響のバランスを十分に検討した上で決めていきます。