4−4.晩期合併症/長期フォローアップ

晩期合併症は治療後しばらくしてから起こる問題のことです。疾患そのものの影響よりも、化学療法、放射線治療、手術、輸血などの治療が原因となっていることが多く、本人や家族が、晩期合併症について将来どのようなことが起こる可能性があるのかを知っておくことはとても大切です。

どのような晩期合併症が出やすいかは、病気の種類、受けた治療、その年齢により異なります。その程度も軽いものから重いものまでいろいろあり、時期についても数年後から数十年後に発生するなどさまざまです。

例えば、便秘、排便および尿失禁、手術後のケロイドなどの美容上の問題や精神的な問題も発生することがあります。

細胞障害性抗がん薬(化学療法)による晩期合併症としては、腎障害、聴力障害(特に高音域の聴力低下)、肺線維症(酸素の吸収障害)、ホルモンの分泌障害、不妊、二次がんがあげられます。

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腎障害、聴力障害についてはある程度生じることは避けられませんが、同じ投与量でも程度には大きな個人差があります。また、ブレオマイシンによる肺線維症については障害が生じにくい範囲に投与量が抑えられているため、肺障害が生じる可能性は低いと考えられます。不妊についてはどの程度の割合で発生するか明らかになっていないため、今後の検討課題です。晩期合併症に関しては、これらの障害についての定期的なチェックが必要です。

なお、晩期合併症の1つである妊よう性(妊娠するための力)の低下については、近年、卵子や精子、受精卵を凍結保存する「妊よう性温存治療」という選択肢も加わってきました。妊よう性温存治療ができるかどうかについて、治療開始前に担当医に相談してみましょう。

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