晩期合併症は治療後しばらくしてから起こる問題のことです。疾患そのものの影響よりも、薬物療法、放射線治療、手術、輸血などの治療が原因となっていることが多く、患者やご家族が、将来どのような晩期合併症が起こる可能性があるのかを知っておくことはとても大切です。
どのような晩期合併症が出やすいかは、病気の種類、受けた治療、その年齢により異なります。その程度も軽いものから重いものまであり、時期についても数年後から数十年後に発生するなどさまざまです。
ユーイングに腫ファミリー腫瘍(ESFT)に対する治療は、多剤併用化学療法に放射線治療を併用することで予後の改善が図られてきました。その一方で、抗がん剤や放射線によって正常な細胞が障害されるために、治療を終えた数年から数十年後にもとの病気とは別の種類のがんや白血病を生じる二次がんの報告も見られるようになっています。今後は二次がんの発症に対しても、治療中、治療終了後に注意深い観察が必要といわれています。
晩期合併症に適切に対処するためには、長期にわたる定期的な診察と検査による長期間のフォローアップが必要となります。また、治療の記録(薬物療法で使用した薬剤の名前や量、放射線治療の部位や量など)を残していくことも重要です。転居や結婚などにより生活環境や通院する医療機関が変わったときにも継続していきましょう。
妊よう性の低下も晩期合併症の主たるものです。現時点で妊よう性を保つための支持療法は開発されていませんので、治療開始前の対応が大切です。近年、卵子や精子、受精卵を凍結保存する「妊よう性温存治療」という選択肢も加わってきました。妊よう性温存治療ができるかどうかについて、治療開始前に担当医に相談してみましょう。
子どもは治療後も成長を続けていくため、発達段階に応じた、幅広いフォローアップケアが重要です。治療後は一人一人の患者に合わせて、いつ・どこで・どのようにフォローアップケアを行うかといった、長期フォローアップの方針を決めていきます。
治療部位以外でも体のことについて気になることがあれば、担当医に相談しましょう。