ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)は、放射線感受性が高い(放射線による影響を受けやすい)腫瘍として知られています。放射線治療は、薬物療法が発達する以前から、ESFTに対する標準治療の一環として用いられてきました。
放射線治療の線量は、50〜60Gy(グレイ:放射線の吸収線量を表す単位)が完全に治るために必要な線量(根治量)と考えられていますが、施設や症状により幅があります。照射する部位(正常組織への影響)、手術での切除の範囲(周りの正常組織も含めて切除する広範切除なのか、限定的な辺縁切除なのか)、または、抗がん剤の効き具合によって、照射線量を変更します。照射時期について、手術の前と後のどちらに放射線治療を施行したほうがよいかに関しては、一致した見解はありません。
肺転移が認められた場合は、肺の全域に放射線を当てる全肺照射を行うことで、腫瘍をそれ以上広げない効果があるといわれています(局所制御)。全肺照射を行う場合は、12〜14Gyが照射線量として推奨されています。ただし、放射線を照射することによって肺機能に異常が出るという報告もあり、十分注意する必要があります。