5. がんになったご本人とあなたを支える3つのヒント〜まとめ〜

ヒント1

患者さんの気持ちや希望を理解する

その時々で、患者さんご本人の気持ちや希望を理解するように努めましょう。がんになっても、家族の関係や絆が変わることはありません。うまくできなくても、あなたがいてくれることそのものが支えになります。

●がんと診断されたときの気持ちを理解し合う P8

多くの方が経験する心の状態の代表的なものが、「不安」と「気持ちの落ち込み」です。これは、ご本人だけではなく、ご家族も同様です。

●「あなたがいてくれること」そのものが支えになる P8

「うまくサポートできるか」と過度に不安にならずに、一歩一歩進んでいきましょう。

ヒント2

情報とうまく付き合う

情報とうまく付き合いましょう。「がん情報サービス」や「がん相談支援センター」を活用することがお勧めです。

●治療や病院に関する情報を探す P9

情報を集め、病状や今後の治療について理解を深めたり準備をすることで、気持ちにゆとりをもって治療に臨めます。

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●あなた自身が適切な情報を得ることは大切 P9

診断されたご本人だけではなく、あなたが適切な情報を得て病気や治療の理解を深めることは、あなたの不安を減らし、現実的な見通しを立てることに役立ちます。

●治療の中で使われる言葉を理解する P17

がんの治療では、「標準治療」が重要なキーワードです。「標準治療」とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示されたものです。

●不確かな情報に惑わされない P20

得た情報を信頼していいか、利用していいかどうか迷ったときは、医療者や「がん相談支援センター」にご相談ください。

ヒント3

家族が自分自身も大切にする

ご本人を支えるためにも、あなた自身の心と体、生活を大切にしましょう。

ご家族は、「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢してしまうことも少なくありません。その一方で、ご自分の日常生活も維持していく必要があります。そのため、ご家族は、「第二の患者」ともいわれます。

ご本人をサポートするためにも、意識的にあなた自身をいたわり、支援を求めましょう。

●ご家族ならではのつらさと対処法を知る P10

あなた自身の気持ちや身体をいたわり、生活を大切にすることが、ご本人の支えにもつながります。

●あなたを支えるさまざまな人がいることを知る P21

困難な状況で周囲の力を借りることは大切です。担当医や看護師、その他さまざまな医療者に、ご家族が自分のつらさや困りごとを相談しても構いません。

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にここまで、がんになった方(ご本人)のご家族であるあなたに向けて、診断されたときから治療、療養などの場面で、「今できること」について、3つのヒントから考えてきました。

がんになったからといって、ご本人との関係が大きく変わることはありません。まずは、あなた自身のこれまで歩んでこられた道のり、ご本人とつくってきた関係を、そのまま大切にしていきましょう。

困難な場面に立たされたり、悩んだときに、あなたを支える人がいます。どうぞおひとりで抱えずに担当医や周囲の人にあなたのお気持ちをご相談ください。

この冊子が、手に取られた1人でも多くの方にとって、自分自身を大切にしながら、「今、できること」を考え、一歩を踏み出す助けとなることを願っています。

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