ヒント1 患者さんの気持ちや希望を理解する

●がんと診断されたときの気持ちを理解し合う

がんと診断された方が経験する心の状態の代表的なものが、「不安」と「落ち込み」です。眠れなくなったり、食欲がなくなったりする人も少なくありません。これらは、P4に記した、ご家族の経験する心の状態と同じです。

【図4 診断時のご本人とご家族の声】

患者として悩んだこと

・がんになったことを家族にどう伝えてよいか分からない。

・内緒にしておこうか。

・心配させて申し訳ない。

・落ち込んでいる姿を見せられない、がんばらなくては。

・家族であっても、自分の気持ちはわからない。

・家族にしか気持ちをぶつけられず、あたってしまった。

家族として工夫したこと

・あまり気づかいすぎるのも良くないと思い、普通に接するようにした。

・黙ってそばにいた。

・とりとめのないことでも黙って耳を傾けた。

・けんかや行き違いがあっても、家族の関係が変わることがないと気楽に構えた。

・ゆっくり休む時間をもてるように家のことを肩代わりした。

・家族としても治療や病院について正しい情報を身につけた。

【図終わり】

●「あなたがいてくれること」そのものが支えになる

それでは、あなたはどうしたらよいのでしょうか?

がんについて、真正面から語り合うことは、特に診断から間もない時期には患者さんご本人にもご家族にも難しいものです。

でも、手探りでも、お互いの不安や気持ちを正直に出し合うことで、少しずつ理解し合えるようになることが多いようです。「うまくサポートできるか」と過度に不安にならずに、一歩一歩進んでいきましょう。

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